アストロノーツ 椎名もた氏作詞作曲のアストロノーツという曲について、歌詞を引用しつつ自分なりに解釈して考察したいと思う。
先に言っておくが、あくまで自分なりに解釈をしてみただけなので自分がもった印象を尊重してほしい。
解釈という行為に善悪はないと思っている。

アストロノーツは、椎名もた(あるいは「ぽわぽわP」)が作詞作曲。

【初音ミク】アストロノーツ【オリジナル】


アストロノーツの歌詞はコチラ


アストロノーツは椎名もた氏が16歳の時につくった歌だ。歌詞を考察していくと、


「僕」は椎名もた氏本人の事で、そして「君」は、お母さんの事だろう。

僕は、カレーを残した時のお母さんの一瞬の表情が消えなくてずっと気にしてしまってた。
カレーは普遍的に愛される物で、それを残すという事は何か大事な場面だったのかもしれない。

学校で虐められた事で、弱い僕を責めてお母さんを気にしていた。

1人きりでならどんなに楽かと思っていた。
でも、それだとお母さんと出会えなかった事になる。
お母さんと出会えてよかった。

タイトルの“アストロノーツ”は宇宙飛行士という意味だ。
「もしも話」という概念を宇宙飛行士に擬態化して表現している。
「僕の部屋」は宇宙で、宇宙飛行士達はふわふわと浮かんでいる。

晩ご飯のカレーの残しを気にして、虐めで自分を責め、お母さんを気にし、わざと嘘をついて叱られる事を考えている。
そんな「僕」の世界の全ては、この小さな部屋で完結している。

(それくらい、「僕」は追いつめられている。)

虚無の続く日常から、唯一の救いのアストロノーツもヒビから漏れだし消えていく。

宇宙は僕自身だった。
アストロノーツが出ていかないように、ヒビ(目や耳などの穴)を塞ぐために目をつむり、耳もふさぐ。
そうしてしまえば、お母さんを見ることも声を聞く事もできないけれど悲しませてしまうよりずっといいのかもしれない。
自分が辛いのを我慢すれば、お母さんが悲しまなくて済む。

嫌なもんだけさ
あたまん中から
消してくれたらな
よかったのにな。


曲が転調し、「僕」は死んでいて、死後の世界から語っている事がわかる。

君に聴かせるため作った歌
やっぱ恥ずかしくて聴かせてないけど
歌ってあげたいな、僕もいつか。


「君に聴かせるため作った歌」は、この歌だろう。
やっぱ恥ずかしくて、お母さんを「君」と言ったのだろう。

——————

虚無と孤独が垣間みる、優しい歌詞。

ポストロックが悲哀を誘う。
優しいメロディとギター音の轟音の対比が内なる叫びに聞こえて辛い。

この歌詞でもわかるとおり椎名もた氏は真面目で、素直で、繊細で、不器用で、そして優しくてお母さんへの愛に溢れた素敵な子だったんだなと思う。
と同時に、その優し過ぎる性格が故に多感な時期に一番近くにいるお母さんでさえ本心を伝えられなくて、どれだけ孤独な気持ちだったのだろうかと思う。
自分の部屋が全てで、その小さい中でもがき苦しんでいたと思うと言葉にならない気持ちになる。

椎名もた氏は作曲を1人で完結できるボーカロイドとそのプラットフォームのニコニコ動画にずいぶん救われたのだと思う。
曲を通じて、小さい部屋から出てみんなと繋がれたから。

でも、同時に苦しい事もいっぱいあったのだと思う。
評価を年齢ばかりで判断されたり、表舞台で表現する以上アンチから目を背けられない。
名前も顔も知らない第三者から批判や否定を受ける事は発信者側になってみないと実感としてなかなかわからないものだと思うが、自分が考える以上に何倍も辛くて心に突き刺さると思う。
なら発信を辞めたら良いじゃん。と思う人もいるかもしれないが、じゃあここにしか居場所がなかったらどうしたらいいんだろう。

椎名もた氏は2015年7月23日に亡くなった。享年20歳だった。

14歳でデビューしたもた氏は、「年齢」と「大人」に過剰に敏感になっていたと思う。
この曲のクオリティを16歳でつくったからすごいのではなくて、あなた自身がすごい。

あなたが今ここに生きていないから、完成されてしまった。
転調してからの「君」が、今聞いてる僕達も含まれてしまった。
完成なんて、誰も望んでいない。体現なんかして欲しく無かった。




最後に。弾き語りバージョンのアストロノーツを。
ポストロックみたいな流星群も、後ろに流れてるリズムレスのアンビエントみたいな浮遊感も、宇宙。



※追記
この記事を、椎名もた氏のお母さんが読んでいただいたみたいで連絡がありました。勝手に解釈をしてしまい怒られたらどうしようと思いましたが、喜んでいただきました。
一点、歌詞の中の”カレーを残さず食べたなら”についての解釈のところは、実際は特別な場面という事ではなく、もた氏は食が細くカレーに限らずいつも残していたみたいです。
つまり、日常的にいつも罪悪感を背負っていて、その日の母親の繊細な表情に、何か確信的なアストロノーツが生まれたのかな、と。




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