デジタル配信が主流の今、CDジャケットの行く末。

やっとこさ!FOUR MINUTES TIL MIDNIGHTのメジャーデビューアルバムが発売されました!!

なので、このジャケットデザインのディテールについて書こうかなって思ったんですけど、どうして黒豹?とか、どうして花を咥えてるの?とか、どうして渋谷スクランブル?とか、どうして草木が生えてるの?とか、そこらへんの事は見た人それぞれが感じた事が正しいと思うので、そういう話はしない事にします。

その代わりに、僕がこのCD制作に懸けた想いと、CDジャケの実情を少々語りたいと思います。

 

まずこのデザインの仕事をいただいた時、僕は死ぬほど喜びました。1.2年ほど前に、ギターのKENTA HAYASHIのソロプロジェクトのCDを作ったのですが、それが本人から高評価をいただいて、メジャーデビューという大事な大事な作品を、他のデザイナーさんとかを押しのけて健太くんとベースのゆうすけが僕を鬼プッシュしてくれたのです。本当に嬉しかった。

しかし喜び半分、不安な気持ちもありました。メジャーレーベルからの仕事は始めてで、やはりメジャーなのだからなんか色々と厳しい事言われそうだなあと思ったからです。しかしバンドメンバーも、ユニバーサルミュージック制作部の島さんも、僕のセンスに任せると言ってくれました。本当に嬉しかったです。

 

まず最初にする事は、最近売られているジャケットとかのリサーチだなと思いました。自分の主張も大事な事だと思うけど、作品は自分のものでなくバンドのもの。そして携わる以上売り上げに貢献しなければ意味がないです。わけわかんないのつくってしまっては駄目ですし。

最近の色んなメジャーアーティストのジャケットをたくさん調べました。そしたら最近のCDジャケットは、アーティスト写真がドーンってあって、アーティスト名とCDタイトルがバーンってなってるものばかりだと気づきました。

なるほど、最近はi-tunes storeなどのデジタル配信が主流。そして音楽業界全体が不況にあえいでいる。もしかしたら「ジャケ買い」という言葉はほぼ死語になっているかもしれない。ジャケットが昔ほど重要とされていない昨今、アー写、ロゴ、タイトルの構成は、簡単だし安価で作れるしなによりもアーティスト側との揉め事も少なく安心、そして確実。大幅な修正などもないだろう。すごく現実的で合理的だ。

それでもその他、ジャケットアートワークをしっかりつくりこんでるのも、もちろんある。ミスチルのアートワークは、本当に素晴らしかった。改めてしっかり観察すると、めちゃめちゃかっこよかったし紙媒体の特徴をフルに活かしていた。それとアシッドマンのアートワークはものすっごいかっこよかったです。acidmanのこのアルバムのジャケ最高!ロック系はわりかし色んなものがあって見てて飽きなかったです。

といった具合に、ジャケットひとつでも「商業的デザイン」と「アート」の兼ね合いバランスがあって、アーティストの特色も盛り込ませていかなければならないので、結構考えさせられます。

 

もちろん僕はアー写にボーンっていう感じのは全くつくる気がなくて、アーティスティックに、それこそ「ジャケ買い」をさせる事を目標にしたジャケットを作ると決めました。それも「商業デザイン」と「アート」のバランス感覚も無視!!アート純度100%でいこうと決めました。FOUR MINUTES TIL MIDNIGHTはそれに見合う数少ないアーティストなのだから迷う事なく進められました。

 

そして僕の人生のキーワードである「普遍的/不変的」を目指し、何年経っても見劣りしない、それこそヒプノシスのような、今の人間にも未来の人間にも「cool!」と言われる作品を目指して制作しました。

そして、CDアートワークの真骨頂は、ジャケット以外だと僕は思っているので、中身、盤面、帯、CD盤の下にあるとこ、等、ジャケ周りも丁寧に作りました。なぜジャケット周りをしっかりデザインしなければならないかというと、「留まらせておく」為です。もっと簡単に言うと、「売らせない」という事です。売り上げの事は、メジャーなんだしプロモーション宣伝部隊に半ば任せちゃおうと。それよりも買った後、ようは「維持」をどうさせるかを考えていこうと。歌詞部分等、ジャケ周りは、デジタル配信ではゲットできない部分なので、そこをしっかりクオリティを上げれば、少しでも家に留まらせる事が出来るのかなと思ったんです。そしてそれこそ僕の役目なのかなとも。

なので、ジャケットとCD盤下のとこの横繋ぎにしてるところや、帯の繋ぎ絵とか、本当にめっちゃ大変でめんどくさくて時間もすごくかかったけど、少しでも「売らせやしないぞフンガー!」ていう想いでヒーヒーしながら作りました。盤面も、つや消しブラックと透明度25%ブラックインクを用いて高級感を出したりなど、色々考えながら制作しました。

FMTM_CDFMTM_CDlabel

FOUR MINUTES TIL MIDNIGHTユニバーサルオフィシャル

 

とまぁ、長ったらしくご託を並べてすみません。これでやっと一息ついたので、最近はFOUR MINUTES TIL MIDNIGHTばかりだったので、これから他のクリエイティブな事を、しまくっていきたいとおもいまーす☆

reomasuda